2024年5月司法書士所感「遺言 点と線」
松本清張「点と線」
サスペンスの話ではありません。
遺言作成のお話しです。
ご相談者(場合によってはその関係親族)のその時点での
想いを形に残すのが遺言ということになります。
われわれ専門家は、遺言をつくろうと思った動機、背景から、家族構成、境遇、家族への想い、考え等々をできるだけお聴きし、なるべく点を過去から現在までの線につなげられるようにしています。
これでも点が点線にしかなりません。
ご相談者のすべてのことがわからないからです。
専門家に遺言を頼んでも相続争いがなくならないひとつの要因はここにあると思っています。
(兄弟姉妹を除く相続人に認めらている遺留分も要因ですが)
ご相談者の方には、いままでの歩んできたことを振り返り、点線を実線にしていただきます。できれば、点線での空白の部分は、やさしさで埋めていただきたい。
こうして遺言は完成します。
ただ、
遺言の場合、いくら実線で繋げても、単独の意思表示の片道切符なため、相手に届けるまでになります。財産を貰わない人はホントに想いや形だけになります。
ですので、
遺言を書く際に、相続人の想いを点線でもいいからイメージして、ご自身がお亡くなりになったときに、相続人の想いが実線で帰ってくる往復切符になるといいですね。
川崎市麻生区新百合ヶ丘・稲城市
司法書士田中康雅事務所
追伸、
相続人の点線が他の相続人に向いてしまうことを遺留分侵害額請求といい(多分)、それが実線になると裁判という形になって表れてきます。
ご注意を。
0コメント