保険金も遺産だから分ける？→誤解。保険金は受取人固有の財産で、遺産分割の対象外です。
法定相続分の算定に入れる？→原則入れない。保険金は法定相続分の基礎財産に含めません。
だから議論不要？→要注意。保険料の原資が被相続人であることが多く、相続人間の公平の観点から、分割の話合いで考慮する場合があります（義務ではなく合意ベース）。

法的な「正解」と、家族にとっての「納得」は別問題。
法的取扱い（形式）と家族の納得（実質）を分けて考えることが、円満解決の第一歩です。

⚠️ 注意：保険金受取額が特別受益とされる場合
保険金受取額は原則として特別受益ではありませんが、相続人間の公平を著しく害する場合には、例外的に特別受益に準じて持戻し（遺産分割上の考慮）の対象とすべきとされた判例があります（最決平成16年10月29日）。
本稿の事例では原則どおり特別受益に該当しないことを前提としましたが、過大な保険金や一部相続人のみ受取の場合には注意が必要です。

2025.11