配偶者居住権で大事なこと(税金編)

前回の

配偶者居住権(法律編)

親と子との間で納得了解ができていれば、

わざわざ配偶者居住権なんて必要ない。

ことはお伝えいたしました。


これは、あくまで法律上のおはなしでして、

他方で、

税金面からみれば、

必ずしもそうとは言いけれないけど・・・。

なお話しです。



配偶者居住権の評価計算は税理士の先生に

おまかせしますが、

相続税において以下の特徴があります。

・配偶者居住権は、建物と土地の評価額があります

・不動産自体の評価額は変わらない。

 (所有権と配偶者居住権の合計額が不動産評価額)

・建物が古ければ古いほど配偶者居住権の評価額が下がる。

 (木造の場合築34年だと配偶者居住権0円)

・配偶者が高齢なほど配偶者居住権の評価額が下がる。

・配偶者死亡の際、相続税対象になならない。

 (配偶者が死亡すると配偶者居住権が消滅する)


配偶者が亡くなった際の2次相続において、

配偶者居住権は相続税対象外なので

結果的に相続税負担が下がりそうです。


たしかに相続税対策にはよさそうですよね。

相続税がかかる方にとっては。


例えば、

相続人 配偶者及び子の2名(ともに被相続にと同居)

被相続人の財産計8000万円

 内訳

  ・自宅建物400万円

   (配偶者居住権200万、所有権200万)

  ・自宅土地(200㎡)4000万円

   (配偶者居住権1000万、所有権3000万)

  ・預金3600万円


配偶者居住権なしでそれぞれが法定相続分の場合

(配偶者の税額軽減考慮、小規模宅地の特例考慮なし)

 1次相続の相続税は、235万円

 2次相続の相続税は、40万円

 1次2次相続税合計 275万円

(預金の減少額は考慮なし、配偶者固有預金0を想定)


配偶者居住権ありで、法定相続分相当で場合した場合

(配偶者の税額軽減考慮、小規模宅地の特例考慮なし)

 1次相続の相続税は、235万円

 2次相続の相続税は、    0円

 1次2次相続税合計  235万円


理由は2次相続で配偶者居住権は消滅してしまうからです。

1次相続配偶者取得分

 土地配偶者居住権評価格1000万円→0円(消滅)

 建物配偶者居住権評価格 200万円→0円(消滅)

 預金         1800万円

 (基礎控除3600万円)

 ∴2次相続税の際相続税0円


法律上、相続争いがないご家族でも

相続税を考慮すると、

配偶者居住権をつかったほうが

いい方々もいらっしゃると思います。


ただ、配偶者居住権をつかわなくても、

小規模宅地等の特例といって、

一定要件のもと最大8割減額できる特例があります。

上記の例で、小規模宅地等の特例を使うと、

前の例では

1次相続の相続税0円

2次相続の相続税0円

です。


なんか数字ばっかで面倒くさいという方は、


もめていない。(居住権確保しなくても問題なし)

1次2次相続税もかからない(節税対策不要)

   ⇩

配偶者居住権の検討不要

(もちろんすべてではありません)

とザックリと覚えておいていいと思いますがいかがでしょうか。





配偶者居住権について

慎重に検討をしなければいけないのは、

実は

将来、自宅を処分する予定がある場合です。


老人施設に行くのに自宅売らなきゃ。

配偶者が亡くなった後処分して換金。

あらヤダ、配偶者居住権。


なにがイヤなのかは、

次回お話ししようと思っています

つづく。




特例を使って相続税がかからない場合でも

相続税の申告は必要です。

個別具体的な事案によって、適用の可否が違います。

お近くの税務署や税理士にご相談いただくか

懇意にしている税理士の先生がいない場合は、

当所にお問合せいただければご紹介します。

の司法書士田中康雅事務所は、

散歩で柿生駅から麻生川沿いを歩いて24分のところにあります。


司法書士田中康雅事務所(川崎市麻生区新百合ヶ丘稲城市の相続手続登記相談)

川崎市麻生区新百合ヶ丘、稲城市で無料相続相談、相続登記・信託・贈与・遺言等相続手続中心に司法書士業務経験30年目。税理士事務所勤務で相続税贈与税を経験し2000年開業。相続全般の知識経験と相続ネットワークでの相続対策や遺産分割、配偶者2次相続対策を行う司法書士田中康雅事務所は新百合ヶ丘駅徒歩5分、稲城市若葉台車で10分。「3訂版相続相談標準ハンドブック」(日本法令)発売中

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