地積規模の大きな宅地(例えばマンション敷地)の評価減
平成28年までは、広大地に関し、個別の土地の形状等とは関係なく面積に応じて比例的に減額するものであるため、形状によっては、それを加味して決まる取引価額と相続税評価額が乖離する場合が生じていました。 また、広大地に該当するか否かの判断に苦慮するなどの問題も生じていました。そこで平成29年度より、相続税等の財産評価の適正化を図るため、実態を踏まえて、広大地の評価について、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、地区区分や都市計画法の区域区分等を基にすることにより適用要件を明確化する「地積規模の大きな宅地の評価」が創設されました。
この適用要件に該当すると路線価地域の場合、通常評価額から少なくとも2割減額(0.8掛け)されます。
では、適応要件をみていきましょう。
私の事務所がある川崎市麻生区新百合ヶ丘駅北口周辺の万福寺を例にみていきましょう。
川崎市麻生区は路線価地域が多い(万福寺は全地域路線価地域)ですので、路線価地域を
前提にお話ししていきます。路線価地域の場合はA表のみのチェックで大丈夫です。
(倍率地域も要件を満たせば対象になりますが、A表及びB表のチェックが必要です)
面積要件
三大都市圏に所在する場合は500㎡以上
三大都市圏以外は1000㎡以上
となります。
ちなみに川崎市は三大都市圏です。
(もちろん稲城市もです)
ここで大事なのは、複数の者に共有されている宅地については、共有者の持分に応じてあん分する前の共有地全体の地積により地積規模を判定しますので、マンション敷地も十分に対象になる可能性がるということです。
地区区分要件
対象となるのは、路線価図上次のいずれかです。
①普通住宅地区
②普通商業・併用住宅地区
参照 国税庁 路線価図
下記路線価図上部の赤で囲った路線となります。
ご参考までに路線価図を見ると、
普通住宅地区か普通商業・併用住宅地区だけですね。
都市計画要件
対象となるのは、
市街化調整区域以外
工業専用地域以外
です
容積率要件
指定容積率が
東京23区の場合は300%未満
東京23区以外は400%未満
の場合です。
都市計画要件、容積率要件は、市町村の都市計画図等で確認してみましょう。
ほとんどの市役所でサイトに掲載されていると思います。
上記をサイトで確認したところ、
川崎市麻生区万福寺で
市街化調整区域や工業専用地域はありませんでした。
また、指定容積率400%以上は駅前周辺と6丁目7番の一画地だけで、
その地域以外は400%未満でした。
規模格差補正率
上記適用要件にすべて該当すれば、最低でも2割評価減(0.8掛け)です。面積が大きくなれば3割以上減額になる場合もあります。
規模の大きな土地にお住まいの方(特にマンションにお住まいの方)、最低2割の評価減ができる「地積規模の大きな宅地の評価」をご自身でも一度調べてみてはいかがでしょうか。
上記はすべて令和6年度現在によるものです。
今回は財産基本通達に関する考え方を説明させていただきました。個別具体的な相続税、財産評価については、税理士又は税務署にご確認、ご相談ください。
新百合ヶ丘のマンションの
遺産分割、相続登記
司法書士田中康雅事務所
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