上場株式の相続税評価と遺産分割
上場株式を相続する場合、まず相続開始日の終値を確認しましょう。
「相続開始日の終値 ✖ 保有株数」
が、相続税を計算する場合においても、遺産分割の価格のたたき台としても、とりあえず基準となる金額となります。
相続開始日の終値はインターネット検索をすればわかるでしょう。
保有株式数は、証券会社の取引報告書等で確認してください。
証券会社がわかっていれば相続開始日で残高証明書を取得しましょう。
1単元に満たない株数(最低売買単位未満株)は残高証明書に記載されないケースがあるので、株主名簿管理人(通常信託銀行)から送られてくる配当計算書等を確認するといいです。
株式保状況がわからないときは、証券保管振替機構に開示請求ができます。開示請求により口座開設している証券会社、信託銀行がわかりますので、改めて残高証明書を請求してください。
相続税がかかるかどうかを確認するために、相続税の概算をさっと計算したいのであれば、相続開始日の終値がわかればとりあえずは大丈夫です。というの相続税の上場株式評価額は相続開始日の終値を超えることはないからです。
では、実際の上場株式の相続税評価額はどうなるのでしょうか。
次の①~④のうち、いずれか低い金額となります。
①相続発生日の終値
② 相続発生月の終値平均額
③ 相続発生月の前月の終値平均額
④ 相続発生月の前々月の終値平均額
上場が東京取引所の場合は以下を参照ください。
相続開始月の前々月までが対象となります。
次は上場株式の遺産分割の価格です。
上場株式を遺産分割する際の価格は、遺産分割時点の取引価格となります。これはあくまで原則であり、当事者の合意があるかぎり当事者で価格を決めることができます。上場株式は、日々変動しており、遺産分割の話し合いをしている間でも変動します。そういったことから、実務では遺産分割時点の価格ではなく、相続開始時の価格を基に遺産分割協議をすることはよくあります。ただ、急騰、暴落局面では原則どおり遺産分割時点の価格とするのが適切といえるでしょう。
最後に上場株式の遺産分割での価格で注意していただきたいのは、遺産分割が終わってから証券会社等での相続手続きが完了するまでには、数週間から1ヶ月程度かかってしまうという点です。その間にも株価が変動していますので、最終的に取得承継する金額が、相続人が考えていた額と違ってきてしまう場合がよくあります。こういった不公平を生まない方法として、株を売却して換価代金を分割するということがあります。ただ上場株式を売却する場合で利益が生じている状況では、譲渡所得税(特に被相続人の株式保有口座が一般口座や信託銀行の特別口座の場合は確定申告が必要)も絡んできますので注意が必要です。
遺産分割後の証券口座を相続人のうち誰名義にするかや譲渡税のお話しは別の機会にしたいと思います。
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上場株式の相続相談事務所
川崎市麻生区新百合ヶ丘稲城市
司法書士田中康雅事務所
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