法定相続情報証明制度

法定相続情報を取得することの重要性について  

「法定相続情報証明制度」という、相続手続きをスムーズに進めるためのとても便利な制度についてご紹介します。相続を経験する多くの方に役立つ仕組みです。 


 1. 法定相続情報証明制度とは?

 

相続が発生すると、銀行口座の解約や不動産の名義変更、証券の相続手続きなど、さまざまな場面で「相続人であること」を証明する必要があります。

従来はそのたびに被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を提出する必要があり、何枚にもなる戸籍を何度もコピーして提出するのは大変でした。

そこで平成29年から始まったのが「法定相続情報証明制度」です。

この制度では、戸籍謄本などの必要書類を法務局に提出して相続人関係を一覧にした「法定相続情報一覧図」を作成し、法務局が認証してくれます。 認証済みの一覧図を使えば、複数の手続きで同じ書類を使い回すことができ、何度も戸籍一式を出し直す必要がありません。



2. なぜ取得しておくべきなのか



(1)手続きの効率化

相続手続きは金融機関や証券会社、不動産の登記など多岐にわたります。それぞれの窓口で戸籍一式を提出する代わりに、一覧図と認証文があれば一度の取得で済むため、大幅に時間と労力を節約できます。

(2)紛失や個人情報漏洩のリスク軽減

戸籍謄本には個人の重要な情報(生年月日、婚姻歴、親子関係など)が詳しく記載されています。提出先が多いと、紛失や情報流出のリスクが増えますが、一覧図には必要最小限の情報しか載っていません。そのため、安心して複数の手続きに使うことができます。

(3)相続人関係を明確化できる

一覧図は、被相続人と法定相続人の関係を一目で把握できる図です。相続人の確定ができるため、遺産分割協議の準備にも役立ちます。



3. 相続人の確定と相続放棄



法定相続情報一覧図は、戸籍謄本など公的書類に基づいて作成されます。

被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、民法上の相続人を確定し、その全員を記載します。戸籍が揃わない場合、相続人全員の記載がない場合は、法務局から証明書が発行されません。法務局の証明があるということは、相続人が確定できていることになります。ただし、相続放棄をした場合は、法定相続情報一覧図には、「相続人」と記載され「相続放棄」の旨は記載されません。 そのため、一覧図だけでは放棄の有無を判断できませんので、 銀行や不動産の手続きでは「相続放棄申述受理証明書」を別途提出する必要があります。相続放棄をした場合は、法定相続情報一覧図だけで手続きが完結しない点に注意が必要です。



4. 実際の利用シーン 


(1)銀行や証券会社での口座解約

金融機関は「相続人全員が誰か」を確認するために戸籍一式の提出を求めますが、法定相続情報一覧図があればそれ1枚で戸籍の代りになるので、迅速に手続きが進みます。

(2)不動産の相続登記

2024年4月から相続登記は義務化されました。 登記申請にも戸籍一式が必要ですが、法定相続情報一覧図を添付することで手続きが簡略化されます。

(3)相続税の申告・裁判所の申立書類の提出

戸籍の代わりに 一覧図で相続書類は基本的には大丈夫です。



5. 取得の流れ


STEP1 必要書類の収集

 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

 ・相続人全員の戸籍謄本

 ・住民票の除票又は戸籍の附票

 ・申出人の身分証明書など

STEP2 法定相続情報一覧図の作成

 相続関係を図にまとめた書式を作成します。

STEP3 法務局へ申請

相続人の住所地または被相続人の本籍地等を管轄する法務局へ提出

一覧図の交付 無料で交付され、



6. 注意点

 一覧図は戸籍に基づく法定相続人のみを記載します。

遺産分割協議の内容や相続放棄・欠格の事実は反映されません。

一度交付を受けた後、相続人に変動があった場合は再申請が必要です。

手続き先によっては追加で戸籍や証明書類を求められる場合もあります。



7. 専門家に依頼するメリット



自分で戸籍を集めて一覧図を作ることも可能ですが、実務では戸籍の読み取りや相続関係の判断が難しいケースも少なくありません。例えば、養子縁組や認知、再婚、前妻との子どもなど、戸籍の内容が複雑な場合には相続人の確定に誤りが生じるリスクがあります。

司法書士に依頼すれば、 戸籍の収集 相続人の確定 一覧図の作成と法務局への申請 までワンストップで対応でき、安心・確実です。 


まとめ

法定相続情報証明制度は、相続人の確定(相続放棄等一定の場合を除く)ができ、相続手続きを大幅に簡略化し、負担を軽減できる便利な制度です。 特に複数の手続きを同時に進める場合や、戸籍の枚数が多いケースでは、その効果がはっきりと感じられます。また、兄弟姉妹相続う先代名義の手続きの場面で多い相続人漏れを防ぐことができます。  相続手続きで「戸籍の束を何度も出すのは面倒」「相続人の確定が不安」と感じた方は、ぜひこの制度の利用を検討してみてください。 当事務所でもご相談を承っていますので、お気軽にお問い合わせください。


川崎市麻生区新百合ヶ丘/稲城市

法定相続情報一覧図の取得は

司法書士田中康雅事務所


司法書士田中康雅事務所(川崎市麻生区新百合ヶ丘稲城市の相続手続登記相談)

川崎市麻生区新百合ヶ丘、稲城市で無料相続相談、相続登記・信託・贈与・遺言等相続手続中心に司法書士業務経験30年目。税理士事務所勤務で相続税贈与税を経験し2000年開業。相続全般の知識経験と相続ネットワークでの相続対策や遺産分割、配偶者2次相続対策を行う司法書士田中康雅事務所は新百合ヶ丘駅徒歩5分、稲城市若葉台車で10分。「3訂版相続相談標準ハンドブック」(日本法令)発売中

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