2026年10月司法書士所感|窓口は一つでいい。尺度はいくつも持っていたい
相続の相談窓口は一つに。そのうえで、法・税・暮らし・想いの4つの尺度から確かめ、最後は全体の釣り合いを見ていきます。
長さを測る定規もあれば、直角を確かめる三角定規も、角度を見る分度器もあります。何を確かめたいかによって、使う道具は変わります。 相続のご相談でも、そんなふうに、いくつもの尺度を持っていたいと思っています。
法律上はどうか。
税金はどうなるか。
その分け方で、これからの暮らしは成り立つか。
ご本人やご家族の想いに沿っているか。
法・税・暮らし・想い。それぞれの尺度で、見ているものは違います。
下の図は、この所感で書いている「窓口は一つ、尺度はいくつも」を1枚にしたものです。
- 窓口:相談の窓口は一つにまとめる。同じ話を何度もしたり、意見を自分でつなぎ合わせたりする負担を軽くする
- 尺度:法・税・暮らし・想いの、いくつもの尺度で測る。足りなければ、別の専門家の力を借りる
- 天秤:最後は天秤に載せるように、全体の釣り合いを見る
相談の窓口は、一つにまとまっているほうが、相談する方の負担は軽くなります。ただ、窓口を一つにまとめることと、尺度まで一つにすることは、別のことです。
税の尺度で見えてきた答えを、暮らしの側から照らしてみる。
ご家族が望む分け方を、法の側からも見直してみる。
一つの尺度だけでは「これが答え」と見えたものでも、別の角度から見ると、気づかなかった問題や、ほかの選択肢が見えてくることがあります。 もちろん、暮らしや想いには、数字できれいに測れないこともあります。むしろ相続では、そこに大事なことが隠れていることも少なくありません。だからこそ、話を聞き、事情を知り、ときには見方を変えながら考える時間が必要なのだと思います。 そして、私自身が持っている尺度だけで足りなければ、別の専門家の力を借りる。自分の得意な見方だけに寄りすぎないことも、大切にしたいところです。 相談する方にとって、専門家ごとに何度も同じ話をしたり、それぞれの意見を自分でつなぎ合わせたりすることは、決して軽い負担ではありません。
窓口は一つにまとめる。
その向こうで、いくつもの尺度で測ったうえで、最後は天秤に載せるように、全体の釣り合いを見る。
税金の答えだけが比重が偏りすぎていないか。
暮らしや想いが、軽く扱われていないか。
一つの答えに急いで合わせるのではなく、相談する方と一緒に、釣り合いのとれるところを探していく。 そんな窓口でありたいと思っています。
司法書士田中康雅事務所
司法書士田中康雅
8月・9月の所感とのつながり
この所感は、8月・9月の所感と続けて書いてきました。8月は、相続の専門家ネットワークを「5階建てのマンション」にたとえ、誰と、どこまで深くつながるかを書きました。9月は、相続を氷山にたとえ、見えている財産の下にある家族の歴史や気持ちまで見ておきたい、ということを書きました。そして今回は、そうして見えてきたものを、どんな尺度で確かめるかを書いています。 8月の所感では、タクトを振る人は案件によって変わってよい、とも書きました。それでも、相談する方から見た窓口は、一つにまとまっているほうがいい。その窓口の向こうで、必要な専門家と一緒に、いくつもの尺度で確かめていく。3本は、そうつながっています。
2026年8月司法書士所感|相続の現場で感じる「ネットワークマンション5階建て」
2026年9月司法書士所感|相続は氷山の一角。見えている財産の、その下にあるもの
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