「相続税専門?信託専門?いいえ相続相談中心です」~アメブロゆる相続のすすめ~
昨年(令和5年)のお話しで恐縮です。
都内某所、1億円超のマンションを母親と長男2人で共有。以前からお二人で住んでいましたが、現在母親は老人施設にいます。長男さんは実家近くへ戻りたいということで売却をご希望。ただ、日に日にお母さんの認知機能が低下してきています。
なんとかしなければ・・・
贈与を検討したが、高額な贈与税がネック。
相続時精算課税贈与も検討したら、贈与した価格は、相続時に相続税の相続財産に合算されるので税法上のメリットはなさそうだ(ホントか?)。
そう言えば、
認知症になった場合でも家を処分できる方法、民事信託とか聞いたことがあるなぁ、信託専門の司法書士に相談しよう、
と私のもとへ。
お話しを聞くうえでは、信託自体は問題なく行けそうだ。
でも、ここでそのまま信託だけを進めるのは相続の専門家と言っていいのだろうかという思いが頭をめぐる。他に方法はないのか?
というのは、令和5年当時、令和6年からタワーマンションの相続税評価が変わる噂あり。高いとこで評価が2倍近くなる可能性もあるとのこと。信託をつかっても令和6年以降にお母さんが死亡すれば、タワーマンションの相続税評価は変更後のもので算出しなければならない。
ところで、相続時精算課税贈与の場合、相続税の計算で相続財産に持ち戻す贈与金額は、相続時の価格ではなく、贈与した時点での価格です。令和5年中に相続時精算課税贈与を適用すれば、令和6年以降相続税が発生した場合、合算する贈与税額は令和6年以降のタワーマンションの相続税評価ではなく、令和5年時の従前の建物の固定資産評価額(据置価格)になります。
というように相続時精算課税贈与は、据置価格で相続税の際合算するので、将来的に価格上昇する財産(今回はケースでは令和6年以降のタワーマンション)は、税法上のメリットがあったのです。
贈与と信託をともに検討(処分権者が変わるので、とちらも売却できる状態にすることが可能となります)
早速、税理士の先生との打ち合わせ。
相続時精算課税贈与にかかる贈与税・相続税(2500万円を超える部分については税率20%の贈与税、贈与時点での価格を相続税財産価格と合算、贈与税負担分は相続税額から控除)、譲渡税(今回長男の居住用不動産の売却となるので3000万円の控除が適用され譲渡益が3000万円以下でしたので譲渡税がかからない)、登録免許税等の実費、税理士・司法書士手数料(要ご相談)を、信託と比較した結果、信託を選択するよりも将来の負担額が1000万円近く低くなることがわかりました。
今回は、その節税効果を上回る信託の効果は期待できないため、相談者の意向を確認したところ、信託ではなく贈与を選択しました(ただ場合によっては、節税効果よりも、例えば受益者連続信託を使って次世代へスムーズな移行を図ることを優先したほうがいい場合もあります。念のため)。
なお、令和6年の今年に贈与か信託かの相談を受けたら、相続時精算課税贈与を選択しても贈与時点の価格はタワーマンションの相続税評価額になり税効果が認められないし、登録免許税の税率も贈与(2%)のほうが信託(土地0.4%、建物0.3%)よりも高いので、トータル負担額は贈与税のほうが高くなる可能性があります(贈与税の申告も必要ですし)ので、その他もろもろを考慮して信託をすすめるかもしれません。
「何言っているかわかんない。」とサンドウィッチマンのように突っ込まれそうですが、ホームページの情報というのは、ブツ切りな場合があります。生前相続対策には、環境、置かれた状況、気持ち含め、そのご家族なりのメリット、デメリットがそれぞれあります。そんなことが少しでも伝わればいいのかなぁとブログを書きながら思っています。
生前相続対策のご相談はどうぞの
川崎市麻生区新百合ヶ丘稲城市
司法書士田中康雅事務所がお届けしました。
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