相続税申告は自分でできる?それとも税理士に依頼?
川崎市麻生区新百合ヶ丘の司法書士が解説。相続税はかからなくても申告が必要な場合があります。自分申告できるケースと、税理士に依頼すべき場面を紹介します。 相続の手続きは、多くのご家庭にとって一生に一度あるかないかの経験です。 「うちは財産がそれほど多くないから大丈夫」「相続税はかからないと聞いたから安心」 そう思っていても、実は申告が必要になるケースがあります。川崎市麻生区新百合ヶ丘(当所所在地)など首都圏の路線価地域に自宅を所有している場合、財産総額が6,000万円程度になることは珍しくありません。 小規模宅地の特例を適用したり、配偶者控除を使うと相続税がかからない可能性がありますが、相続税の申告手続き自体は必要になることが多いのです。「税理士にお願いしたほうが安心かな?」と思う一方で、「費用が50万~80万円と聞いて迷っている」「できれば自分でやってみたい」という声もよく耳にします。 この記事では、 ・相続税がかからなくても申告が必要な理由 ・自分申告する人の特徴と注意点 ・税理士に依頼したほうがよいケース ・司法書士に相談できることを、司法書士の立場からわかりやすく解説していきます。
相続税はゼロでも申告が必要
小規模宅地の特例や配偶者控除を使うと、税金がかからない可能性があります。 しかし、この特例や控除を適用するには、相続税額がゼロでも申告書の提出が必須です。
国税庁の「申告要否判定コーナー」
国税庁のホームページには「申告要否判定コーナー」があり、財産額や相続人を入力すると申告が必要かどうかを目安として確認できます。 ただし、あくまで一般的な条件に基づくため、特殊な資産や最新の法改正が完全に反映されるとは限りません。 私の事務所でも、ご依頼者で、実際にご自身で判定されてからご相談に来られる方もいらっしゃいます。
標準的なケース
相続人:配偶者+子ども2人 財産:6,000万円(自宅+預貯金中心) このような場合、相続税自体はゼロになることが多いですが、相続税申告は基本必要です。
税理士報酬の相場
税理士報酬は遺産総額の0.5〜1.0%が目安とされ、6,000万円の財産なら30万〜60万円程度です。 土地評価や株式などが絡むと50万〜80万円になることも少なくありません。
自分申告をする人の特徴
・財産がシンプル(自宅+預貯金中心)
・ 相続人関係が円満
・数字や事務作業に慣れている
・費用を抑えたいと考えている
自分申告の注意点
・特例の要件を誤解すると損をする
・財産もれや財産評価の間違いが起こりやすい
・名義預金、生前贈与の見落としがある
・書類不備で税務署から問い合わせが入る可能性がある
税理士に依頼したほうがよいケース
・タンス預金、海外資産、非上場株式など見落としやすい資産がある
・不動産評価が複雑(借地・山林・粗悪地、など)
・財産の流れを把握できない
・相続開始前7年以内の贈与
・相続時精算課税を利用している
注意すべき最新動向:マンション評価改正
令和6年(2024年)から、3階建以上の居住用区分マンションの相続税評価方法が改正されました。 従来の「土地路線価方式」「建物固定資産評価」に加え、築年数や階数などを考慮する新ルールが導入されています。これにより都市部のマンションでは評価額が上がる可能性が高く、「以前は基礎控除内で相続税がかからなかったのに、改正後は申告が必要になった」というケースも出てくるでしょう。
司法書士は
司法書士は、相続登記や遺産整理だけでなく、財産調査や財産目録の作成もサポートできます。 また、相談者の状況に応じて、信頼できる税理士や弁護士を紹介する橋渡し役も担います。 最初の相談先として司法書士を選ぶ人もいます。 親身に相談に乗ってくれる司法書士であれば、必要に応じて相談者に合った税理士を紹介してもらえるでしょう。
まとめ
・相続税がかからなくても、特例や控除を使うには申告が必要なケースがある。
・自分申告をする場合は、財産もれや評価ミスに注意が必要。
・税理士に依頼すると50万〜80万円程度かかる場合がある。
・最初から「申告依頼ありき」の相談だと、自分で申告できる可能性については検討されないまま進んでしまう場合ある。
・司法書士は相続登記や財産整理に加え、状況に合った税理士への橋渡しも可能。 なお、ここでお伝えした内容は「相続税を自分申告すること」を推奨するものではありません。 ケースによっては税理士に依頼したほうが安心・確実な場合もあります。 ただ、いきなり税理士に相談するのではなく、その前に司法書士に相談して相続全体を整理する“ワンクッション”を置くことで、自分に合った選択がしやすくなるでしょう。
川崎市麻生区新百合ヶ丘/稲城市
相続相談
司法書士田中康雅事務所
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