信託を難しくしているのは専門家?~アメブロ「ゆる相続のすすめ」
川崎市麻生区・新百合ヶ丘の相続は司法書士が解説。認知症対策の家族信託は目的別に「コンパクト」設計。生前売却や空き家特例も見据え、変更の道筋まで整える相談窓口。司法書士田中康雅事務所が解説します。
「家族信託は便利と聞くけれど、仕組みが難しそう」――ご相談の現場でよくいただく声です。難しくなる原因は“盛り込み過ぎ”と“将来まで決め過ぎ”にあります。信託は契約です。自由に設計できる一方、一度決めた大枠を後から変えるのは実務上とても重い。 相続人の暮らしや価値観は時間とともに変わります。だからこそ、最初から目的を絞った“コンパクト設計にしておくことが、運用も説明も無理がなく、長く機能する近道なのです。
そりゃー法律ですから、いろいろと決まりありますよ。税金も複雑かもしれません。
信託で認知症対策、遺言機能、そして将来を超えて未来のこともあれもこれも。
だから、複雑になってくるのです。
そこで私の結論は、あえて「信託はシンプルに」
信託ってもともとは、
信頼できると思って任された人が目的に従って財産の管理等をすることですから。
信託は財産管理契約や相続対策等の選択肢の一つにすぎません。
無理に全部信託にねじ込む必要はありません。
逆に「目的を明確にしぼる。」ってことも時には大事。
完璧を目指して“全部盛り”にするほど、信託は動きにくくなります。目的を絞ったコンパクト設計なら、家族にも説明しやすく、長く続けやすい。ご家庭の事情は十人十色です。迷ったら、まずは現状と目的を一緒に言語化するところから。
あと、もう1点。
信託の当事者だけで信託終了時に財産帰属を決めることができます。
いわゆる、遺言機能です。
しかも、遺言があっても信託が優先します。
信託の方が強いのです。
だから、家族間で勝手に決めてしまうと後でトラブルになりかねません。
信託をする場合は家族のお話し合いが大切です。
実務のリアルを一つ。
条文上は柔軟でも、運用現場では信託の改定はほとんど行いません。関係者の合意、登記・金融機関の再手続、税務確認が一度に必要になるからです。契約は柔軟でも、実務では「ほとんど改定しない」(もちろん変更してもかまいません)。ならば最初から、変更しなくても回る“無理のない設計”にしておく。それでも将来、どうしても変更せざるを得ない局面に備え、あらかじめ“変更できる道筋”を用意しておく発想が大切です。(軽微変更は受託者の裁量/重大変更は書面合意+登記、などの二段構え) 税務の落とし穴も要注意です。たとえば自宅を生前に信託に入れ、死亡後も信託のまま売却する設計だと、「相続で取得した家屋」とみなされず、**空き家特例(3,000万円控除)**を使えない場合があります。
ここで、無理のないコンパクト信託”**の例を2つご紹介します。
例1|生活費・介護費だけを止めない「預金ミニ信託」
対象は預貯金のみ。受託者(多くはお子さん)が施設費・医療費・日常費を機動的に支払えます。毎月の上限額と年1回の見直し、日常の小変更を認める軽微変更条項を添えるだけで、口座凍結への備えに集中できます。不動産を入れないため、登記・税務の負担もすっきり。銀行でも同じようなものをやっているのでそちらを選択していいですよ。
例2|自宅は信託に入れても「すぐ外せる」出口を用意
当初は認知症対策のために自宅も信託に入れるが、生前に売却をしないことが濃厚になった時点で、すぐに自宅を信託から外せるように設計することが大切です。その他の財産(預金・収益不動産)は信託に残しつつ、空き家特例の選択肢を温存できます。
変更に強い“道筋”の作り方(実務メモ)
・軽微変更条項:賃貸条件調整、支払方法、小修繕などは受託者裁量で可。
・重大変更手続:受益者(必要に応じ受益者代理人)全員の書面合意+登記を明文化。
・部分終了・除外条項:状況が変われば特定財産だけ即座に外せる。
・後継受託者の確保:人の不在で運用が止まらないように。
最後に
自宅を将来どう扱うか決めきれない段階で、認知症対策の名目だけで自宅を信託に入れるのは慎重に。信託は数ある手段の一つに過ぎません。任意後見・遺言・生前贈与・共有の管理合意など、総合的に判断して信託を選択してください。
「総合的に判断して結論はシンプルに」でした
川崎市麻生区新百合ヶ丘
ゆる(許)相続のすすめ
司法書士田中康雅事務所
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