相続放棄は「さわるな危険」ー家財、葬式費用、入院費、預金。~アメブロゆる相続のすすめ
相続放棄の直後は「財産に触らない」が鉄則。家財の処分、葬式費用、入院費、預金引き出しのOK/NGの線引きと安全な進め方を、司法書士がわかりやすく整理します。 相続放棄では“財産処分はダメ”。迷ったら触らない——これが最強の自衛策です。 まず前提をひとつだけ。相続が始まってから原則3か月は「考える期間(熟慮期間)」です。ここで単純承認/限定承認/放棄のどれにするか決めます。放棄を見据えるなら、余計な“処分”を一切しないことが生命線。以下の4項目は特に注意してくださいね。
1. 家財道具の処分(捨てる・売る・形見分け)
価値のない消耗品の整理までは、保存行為として認められやすいです。
NGになりやすい行為 価値のある家具
・家電・宝飾・コレクションを捨てる/譲る/売る
・「形見分け」の名目でも、金銭的価値があるものを持ち出す
実務のひと工夫
・片付けを求められても勝手に処分しない。鍵の管理など保存のみに徹しましょう。
・どうしても動かす場合は写真・リスト化で証跡を残す。
2. 葬式費用(どこまで払っていい?)
原則
・遺産の口座から安易に支出しない。処分と評価されやすいからです。
例外の考え方
・社会通念上相当な範囲の葬儀費用に限り、遺産からの支払いでも「処分ではない」と判断された裁判例はあります。とはいえ金額・内容・事情の総合判断なので、グレーが多い領域です。
ポイント整理
・まずは自分の財布で立替(領収書・見積書・式場の明細を全保存)。
・遺産から支出せざるを得ない場合でも、相当額内に厳格に。仏壇・墓石・高額な会食などは範囲外になりがち。
3. 入院費・医療費の支払い
落とし穴
・亡くなった後に請求された入院費や医療費を“遺産口座から”払うと、処分=相続を受け入れたと見られる恐れがあります。
安全策
・まずは病院へ「相続放棄を検討中」と伝え、支払い方法や期限を相談。
・支払うなら自分の資金で立替→のちに清算を検討。
・なお、連帯保証人だった場合や、配偶者の日常家事債務に該当する場面は、相続放棄をしても支払義務が残る可能性があります。ここは個別相談を。
4. 預金の引き出し
鉄則:触らない
相続預金の解約・引き出しは、特に注意。「処分」と評価。放棄後であれば隠匿・消費に当たるリスクまであります。
やむを得ないケースでも
葬儀費用に充てた相当額の引き出しが許容された例はありますが、“相当”かどうかの線引きは難しい。できる限りノータッチが最善。どうしても必要なら金額の根拠書類を完璧に揃えましょう。
いますぐできるチェックリスト
・価値のある物は動かさない(売らない・捨てない・持ち出さない)。
・遺産口座は触らない(出金・解約・振替NG)。
・領収書・見積書・通帳コピー・やり取りは全部保存。
・賃貸や残置物は、清算人選任や次順位相続人への引渡しを検討。
・保存行為(施錠・雨漏りの応急処置・最低限の清掃)にとどめる。
・熟慮期間3か月を意識。足りなければ家庭裁判所で延長申立て。
まとめ
・処分しない=最強の自衛。迷う行為はやらない。
・葬式費用は自腹立替→後日清算。
・入院費は遺産から出さない。まずは病院に事情説明。
・預金はノータッチ。引き出しは最終手段でも証跡完備が絶対。
相続の現場は一件ごとに事情が違います。この記事は踏み外さないための最短ルール。
さわるな危険!相続放棄でした。
川崎市麻生区新百合ヶ丘/稲城市
相続放棄の相談は
司法書士田中康雅事務所
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